「うまくいった」ことよりも、「うまくいかなかった」ことにより惹かれる。
動きや作業・プロセスと意図とが「うまく」沿うとき、流れは止まらない。「うまく」沿わなかったとき、流れはぎこちなくなり、身体の中にノイズが生じる。その場合、遡ってなぜそのノイズが生じたのかを考える。
ここでいう「ノイズ」は、除去されるべきものであることも多い。例えば事務的な作業においては完遂することが目的であるから(その過程における紆余曲折はあまり意味をなさないから)、「うまくいかない」ことは割と困る。しかし、自分が創作に向き合っている時、生じる「ノイズ」は必ずしも忌むべきものではない。むしろ、その「ノイズ」の中にこそ注目すべきものが宿っている場合も多い。
「ノイズ」を拾い上げるためには、何が起こってもそれを一旦受け止める態度と、時間が必要だ。合理的な心算では、細やかさに欠ける。