19.12.20

『intoxicate』に掲載されました

 12/10発行のタワーレコード『intoxicate』に、アルバム "later" の紹介が掲載されました。




執筆してくださったのは、『ジョン・ケージ 作曲家の告白』の翻訳などでもご活躍されている批評家・大西穣さんです。

作家自身の思いもよらぬ地平まで拓いてくださった言葉、大変嬉しく思います。

タワーレコードの店舗をはじめ、Nadiff等のショップやBunkamuraをはじめとするアートスペースで配布されています。お近くにお立ちよりの際は是非ご覧ください!

12.10.20

ハイレゾ音源発売のお知らせ

アルバム『later』発売より、多くの方にうれしいお声・感想を頂いております。ありがとうございます。  

10月2日より、ハイレゾファイルでの久保田翠アルバム『later』配信が始まっています。サイデラ・マスタリングさんのレーベル・SDMindiesからのリリースです。 以下のサイトからは全曲視聴することができます。まだアルバムをお聴きいただいていない方、CD購入をお考えの方にも、是非ご一聴いただきたいです。  

解像度が大きく上がった音響は、ぜひ可能な限り大きな音量で(あればスピーカーから)ご視聴いただくのをお勧めします。ピアノの音の佇まい、打鍵の際にキーが底を打つ音、ゆっくりと消えてゆく音の余韻、ペダルを踏む音や椅子の軋み。全ての音や空気が存在感を持って鳴り響いています。同じ曲を異なるファイル形式で聴き比べてみると、その鮮やかさがさらに浮かび上がります。また、曲ごとに繊細に施されたミックスの違いがよくわかると思います。 

オーナーレーベルの福田貴成はこのハイレゾ音源について「「音がそこにある」ことの驚異」という表現を用いていますが、「演奏行為のドキュメンタリー」というアルバムのコンセプトに叶う素晴らしい音になっていると思います。改めて録音の中村益久さん、ミックスの鎌田岳彦さん、ミックスおよびマスタリングのオノセイゲンさんに感謝を申し上げます。  

私自身このアルバムを作る過程は、自分の中に新たな耳を育ててゆく過程でもありました。受けてきた教育により自分の中ではエクリチュールと音とが分かち難く結びついている(結びつけないといけなかった)のですが、それらを一旦解体する作業を幾度となく繰り返してきました。それまでと異なる聴き方を育てるのは地味で果てしない作業ですけれども、様々な音をただそのままに受け止めリフレクトしてゆく作業は、単純に楽しくもありました。ちょうどアルバム制作に勤しんでいた昨年の春~夏は、改めていろんなアーティストのアルバムを聴き返していたのですが、三宅純さんやベス・ギボンズ、コクトー・ツインズなどのアルバムはこの『later』制作においても(音楽上のスタイルの差異を超えて)重要な参照源となりました。

 ファイル形式はPCM24bit96kHz、DSD5.6MHz/1bit、DSD 11.2MHz/1bitの3種類です。いずれもOTOTOY、e-onkyo、moraで購入いただけます。OTOTOYとe-onkyoでは、購入特典として4ページのPDFブックレットが付属しています。CD版には未掲載のテクストと写真が掲載されています。まずはぜひ、ハイレゾの音の質感をお楽しみいただけると幸いです。

★OTOTOY 
久保田翠/ later (24bit/96kHz) 
久保田翠/ later (DSD 5.6MHz/1bit) 
久保田翠/ later (DSD 11.2MHz/1bit) 

★e-onkyo 


 ★mora 

久保田翠/ later (24bit/96kHz) 
久保田翠/ later (DSD 5.6MHz/1bit) 
久保田翠/ later (DSD 11.2MHz/1bit) 

4.10.20

前橋・F-ritz Art Center

前橋・敷島公園内にあるフリッツアートセンターで、アルバム『later』を扱ってくださっております。昨日はるばる行ってまいりました。突然伺ったのですが、見えやすい場所に置いてくださってありがたい限りです。 

店舗は絵本を中心に素晴らしい本・CDのセレクトでついつい長居してしまいました… アルバム『later』も店内で流して頂いて、広々高い空間で我がアルバムながら初めての音響体験でした。天井に設えられたスピーカーから音が降ってくるかのようでした。 改めまして、お取り扱いありがとうございます! 
お近くにお立ち寄りの際はぜひフリッツアートセンターへ!楽しい本やCDがたくさんあります。 



 ちなみに、このフリッツアートセンター内CDショップは、大宮にあるmore recordsの前橋店という位置付けだそうで、インストアのような形になるようです。CDのセレクトはmore recordsのスタッフが手がけていらっしゃるとのことです。下の写真は、先日more recordsを訪れた際気に入って購入してきたものです。 


 昨日は本やCDをどっさり購入したのにくわえ、かわいい動物たちも連れて帰ってきてしまいました。早速我が家の「コーラス隊」ということになりました。 
#フリッツアートセンター 
 F-ritz Art Center http://theplace1985.com/



2.10.20

CDアルバム 『later』のための、 『作曲者自身によるいくつかの覚書』

無事9月23日にアルバム『later』が発売開始されました。おかげさまで、各販売サイトやショップを通じ、ご購入・ご好評をいただいております。また、タワーレコード渋谷店・新宿店・梅田NU茶屋町店での視聴機にて今しばらくご視聴いただけます。これもひとえに、ご協力頂いた多くの方々のおかげです。改めて心より感謝を申し上げます。

今回のアルバムについて、3つのテクストを執筆しました。すでに発表済みではありますが、改めて以下にリンクをまとめたいと思います。お目通しいただけたら幸いです。近日中に、英語バージョンもアップロード予定です。



遅さについて

https://midorikubota.net/jp/lt.html#slowness


演奏とドキュメンタリーについて


https://midorikubota.net/jp/lt.html#documentary



疲労について

https://www.midorikubota.net/jp/lt.html#exhausted


23.9.20

本日、アルバム『later』発売日

いよいよ今日、レーベル ombrophone records https://www.ombrophone.net/ の第一弾作品CD『later』(OMBR-0001)の発売日を迎えます。

この10年ほどの活動の集大成として、また今後の自分の創作の礎になるものとして、大切に作り上げました。つい最近公開されましたトレイラーを下に掲載しました。アルバムの半分以上を占める “Performance studies“ の中でも、最も良い瞬間を収めることができたと思う作品です。


https://vimeo.com/459639204



アルバム『later』の制作クレジットです。ここにお名前のない方々も含め多くの方のご助力・ご助言を頂きました。改めて心より感謝申し上げます。



・作曲・演奏・テクスト  久保田翠

・レコーディング     中村益久

・ミキシング       オノ セイゲン、鎌田岳彦

・マスタリング      オノ セイゲン

・ゲスト・ヴォーカル   小阪亜矢子(Tr. 10 )

・プロダクトデザイン   宇平剛史

・翻訳          佐藤良明

・写真          鵜川真由子

・プロデュース      久保田翠


・Special thanks to   木村達司、福田貴成



オンラインとライブが主流となっているこの時代にあえてCDという「モノ」を作ったのには、ブックレットに載せられた言葉(作品のスコアおよび作曲者による断章)と音(演奏行為)とが分かち難く存在しており、さらにはそれら両方ともが重要であるということを確かに示すためであります。「本のようなCDを作りたい」というイメージが、宇平剛史さんの美しいデザインによりまさに実体となりました。

自分のことを思い返してみても、気に入ったジャケットや造作のアルバムはいつまでも手元にとっておきたい、と思います。そのような一枚になれば、大変嬉しいです。

以下のショップでは、試聴機でお聴きいただくことができます。お近くにお寄りの際は是非ご覧いただけると幸いです。


・タワーレコード 新宿店

・タワーレコード 渋谷店

・タワーレコード 梅田NU茶屋町店


フリッツアートセンターでの取り扱いも決定いたしました。

http://theplace1985.com/


また、以下のオフィシャルショップ及びいくつかのサイトからご購入も可能です。


・オフィシャルショップ https://ombrophone.thebase.in/items/32485170

・Amazon https://www.amazon.co.jp/gp/product/B08GG4W5N8

・Tower Records https://tower.jp/item/5088918/later

・芽瑠璃堂 https://merurido.jp/item.php?ky=OMBR0001

・HMV https://www.hmv.co.jp/artist_%E4%B9.../item_Later_11160166


最後になりますが、ハイレゾでの配信も決定いたしました。こちらは追ってご案内させていただきます。

是非多くの方々にお聴きいただきたいです!!


—————————————————————

「奏でることを禁じられた身体から零れおちる音の官能 /

「実験音楽」の彼方に見出された未聴のアンビエンス」

・久保田翠『later』(OMBR-0001)CD ¥2,200+tax

・2020年9月23日(水)発売

・全11曲|紙ジャケット仕様|日英対訳ブックレット付属

29.8.20

CD『later』発売のお知らせ

すでにSNSで告知を始めておりますが、このたび9月23日に念願のアルバム『later』をombrophone recordsより発売することとなりました。

ピアノソロのためのパフォーマンス作品 《Performance Studies》 をベースとし、無理難題をどうにかして遂行しようとする身体から発せられる「音」を記録した、「音楽行為のドキュメンタリー」です。戸惑い抗う身体から発せられた予期せぬ音、コントロールできない音を、1時間弱の記録に収めました。

演奏者当人ながら面白く思っているのは、この「予期せぬ音」「コントロールできない音」がはからずも纏ってしまっている表情や存在感です。事前にしっかりと準備をして、十全なイメージをもって出そうとする音とは異なる、脆弱な、しかしながらそれゆえに強い、なんとも言えない手触りがあります。

またアルバムに2曲収められたボーカル曲のうち、タイトル曲「later」は私自身によるテクスト・演奏(preparation含む)・ボイスです。音になるまえの言葉、言葉になるまえの音、そのあわいにおける声のあるいは息の様態を、限界まで遅くした楽曲のなかに封じ込めました。


以下のレーベルリンク先より、タイトル曲「later」およびピアノソロ「メライトロイ」の一部をトレイラーとして聴くことができます。

https://www.ombrophone.net/jp/later.html


デザインは宇平剛史さん、これまた念願(!)だった紙ジャケによる美しい手触りをお楽しみいただけます。ぜひ、お手にとっていただけたら幸いです。


現在、各オンラインショップにて予約受付中です。

AMAZON 

HMV 

TOWER RECORDS

芽瑠璃堂

ombrophone records 公式ショップ


Midori Kubota https://midorikubota.net/

23.6.20

バッハを弾くこと

「曲に入り込む」というだけでは説明がつかないような、不思議な経験をしたことがある。 

初めてバッハの「インベンション」を弾いたのは、7〜8歳ごろだった。あるいはそれよりも前、子供向けに簡単にアレンジされたバッハの作品を弾いていたかもしれない。当時特段の感銘を受けたかどうかは覚えていない。それよりも、その後シンフォニアに進んだ時に覚えた違和感の方が強く印象に残る、9歳だったか。2声部から3声部になり、「右手」と「左手」だけではなくそれぞれの手を超えるような声部が現れたときの、とんでもない違和感。一つの手が複数の声部を担当し、複数の手が真ん中の声部において綱渡りをする。「第3の手」が自分の中に現れようとするかのような、こんな音楽があるのかと驚いた。まるで新しい言語を一つ学ぶようなものだった。

やがて4声部の独奏曲を弾くようになった時、不思議なことが起こった。頭の中に4つの動くスクリーンのような、トラックのようなものが立ち上がり、それぞれのなかで個々の声部が蠢いているのであった。声部は確かに連関し合っているのに、互いに独立もしている。今であれば、「同時に4つのPCモニターを見ながら4つのPCを関連させつつ独立させつつ動かしている感じ」とでも表現するかもしれない。4つの空間がぐいーっと立ち上がってくる。なぜバッハなのか、他の多声音楽の作曲家ではだめなのかも、いまだに説明がつかない。 

「不意に時間の秩序から外れてなにか貴重なものを生き直す経験、「時間の外にある喜び」に満たされる経験は最も固有な、特異な出来事を宿している経験であり、自分がどうしてもそれを証言したいと惹き寄せられる経験である。」(湯浅博雄『応答する呼びかけ』)

 残念ながら、というべきなのか、あるいは必然的というべきか、そのような体験はこれまで2〜3度しか経験したことがない。しかしながら今でもバッハを弾くのが好きなのは、単に好きな作曲家だからという理由の他に、その時の不思議な経験に再び遭遇することを求めているからなのかもしれない。